Apr 7, 2015

朝の非常事態宣言。


とある雪山でキャンプ中、先に起床した船長によって発された、非常事態宣言。寝袋の中で、しつこく、ぬくぬくしていた私の顔は蒼白となった。

「悪いニュースだけれど、落ち着いて聞いて欲しい。駐車上内の公衆トイレ(注:水洗ではない)のドアが、凍りついて開かない。」

え・・・・?

「唯一の残された手段は、自然に従うことだ。」

は・・・・?この明るさの中で・・・・。

「決して、ギリギリまで待たないように忠告する。」

そういうわけで、飛び起きた。

船長が、あっちの茂みとか、こっちの茂みと推薦してくれているのも上の空、身支度完了。

バックパックにトイレットペーパーと、ウェットティッシュを詰めて、

「しばらく戻らないけれど、心配しないで。私は、(凍上)歩いて片道10分以上はかかる、もうひとつの公衆トイレ(注:もちろん、水洗ではない)を目指します。」

と、キャンパーバンを出た。

40年近い人生の中で、これほどまでに長く、危険なトイレへの旅はなかったかもしれない。そして、これほどまでに美しいトイレへの旅もなかっただろう。早朝、このスイスのような美しい景色の中、トイレを目指すことが、あまりにも価値あることに思えて、幸運に身震いさえしていた。

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